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私たちの体は、自律神経の働きによって、調節が行なわれています。
日中に交感神経が働くことで活動でき、夜間は副交感神経が働くことでゆっくり休めるわけです。自律神経はシーソーのように揺れ動いています。この自律神経のバランスが偏りくずれると、病気になるのです。 さらに、白血球の分布も、自律神経の調節下にあります。顆粒球は交感神経支配で数が増え、リンパ球は副交感神経支配で数が増えるようになっています。
このため、無理な生き方が続いた場合、交感神経刺激を介して顆粒球増多が起こります。体内に入ってきた細菌の処理という大切な役割を果たす顆粒球も、過剰になると常在菌と反応して、組織破壊の炎症を引き起こします。この流れで起こる病気が、突発性難聴、歯周病、胃炎、胃潰瘍、クローン病、潰瘍性大腸炎、痔などです。
逆に、副交感神経が優位過ぎる、のんびりし過ぎた生き方も問題です。リンパ球が増加して、アレルギー疾患にかかりやすくなるからです。副交感神経優位の状態の人が大きなストレスを受けると、リウマチなどの膠原病などの病気が起こります。
ガンは、低体温、低酸素、高血糖の状態が長く続いて起こります。
「白血球の自律神経支配」の理論を知ると、多くの病気の原因を明らかにすることができるのです。
患者様やそのご家族から寄せられたご質問をまとめた本『病気が治る免疫相談室』(ソフトバンククリエイティブ刊)の中から、出版社の了解を得て、ご質問(※)と回答を掲載しました。
ご参考になれば幸いです。
※質問はタイトルのみ抜粋しました。詳しい内容は『病気が治る免疫相談室』をご覧ください。
不眠症になり、抗不安薬をどうしてもやめられません(81歳/男性)
抗不安薬から離脱するには、体を徹底して温め、不安感を取り除きましょう。
不眠症には、寝つきが悪い、眠りが浅く夜中に何度も目が覚める、朝早くに目が覚めるなど、さまざまなタイプがあります。
原因は、
① 運動不足や夜更かし朝寝坊など生活習慣の乱れ
② 精神的なストレス
の2つがあります。
ストレスは交感神経を刺激し、心身を興奮させ眠りを妨げます。あなたのように心配事を抱えていれば、不眠になるのは自然な反応です。
問題を解決できればよいのですが、できないときは解決をあきらめるというのも、心を平静にする一つの知恵です。「あきらめる」といえばうしろ向きの姿勢に感じられるかもしれませんが、かえって気持ちの整理に結びつくことが多いものです。あきらめることで、解決を焦る気持ちから解放されて、悩むことをきっぱりやめることができます。
ストレスによる不眠症は、心の持ち方を改めない限り治すことはできません。睡眠導入剤や精神安定剤に頼りきるのは危険です。依存性がないとされる薬でも、長く飲み続ければやめられなくなります。実際、不眠に関する相談では、「眠れない」という悩みと、「薬をやめたいのにやめられない」という悩みが、対になって寄せられます。
とくに依存性が強いのは抗不安薬で、「薬をやめると不安でしかたない」「一睡もできなくなる」「動悸が激しくなる」などの悩みが寄せられます。こうした服用者の実態を見れば、抗不安薬や精神安定剤などは「依存性薬の指定」にして安易な処方を防ぐべきだと私は考えています。
薬で交感神経の働きを抑えて眠ることができても、ベースにある興奮状態は変わりません。ストレスを抱え続ければ、交感神経の緊張によって慢性的な血流障害が生じ、あなたのように背部痛や腰痛など、新たな症状が上乗せされるようになります。
抗不安薬の依存から逃れている人もいるので、希望はあります。まずは、「ぽかぽかして心地よい」と思えるくらいに体をよく温めることが大切です。日中は体操などで体をよく動かしてください。
体を温めると、副交感神経が優位になり、心身共にリラックスします。いい知れない不安感、焦燥感などから抜け出せるようになるでしょう。気持ちの持ち方や養生を工夫して、心穏やかに過ごしてください。
偏頭痛に悩んでいます。薬をやめたい (33歳/女性/会社員)
筋肉の緊張をほぐし、血流を回復させることで完治します。
偏頭痛の典型的な症状は、頭の片側がズッキンズッキンと脈打つように痛むというもの。吐き気やめまいを伴うこともあります。いったん痛みはじめると数時間、人によっては数日続くケースもあります。痛みが起こる前には、目がかすむ、まぶしいなどの前兆を感じる人が多いようです。
偏頭痛は、脳の血管が過度に拡張して生じるものです。血管が拡張する原因の1つに「セロトニン説」があります。血管を収縮させる働きがあるセロトニン(神経伝達物質)が、なんらかの理由で過剰に放出され、血管を収縮させます。その後、今度は血管内にあるMOAという物質によってセロトニンが分解され、一度収縮した血管が急激に拡張することで偏頭痛が発症するといわれています。
もう一つの原因は、「三叉(さんさ)神経説」です。三叉神経は、顔面や頭皮、口の中の粘膜、歯の感覚などを支配している知覚神経です。なんらかの刺激で三叉神経が興奮することにより、神経末端から血管を拡張させる働きのあるプロスタグランジンをはじめ、種々の神経伝達物質が分泌されます。これによって血管が拡張したり、拡張に伴う炎症が神経を刺激して、偏頭痛が起こるとされています。
偏頭痛が生じる背景には、頭部から肩にかけての筋緊張があります。デスクワークが多かったり運動不足が重なると、首、肩の筋肉は緊張したままになり、血流が悪くなります。また、仕事をこなしているときは、交感神経が緊張する影響で血管は収縮傾向になり、血流もよどみがちになります。
ここで頭重や肩こりなどの症状が出てもおかしくないのですが、あなたの場合はどうでしょうか。
実は、この慢性化した血流障害が、週末偏頭痛の引き金となるのです。
週末はストレスから解放されて、ほっとするときです。リラックスすると副交感神経が優位になり、それまで絞られていた血管を拡張して血流を回復させます。血管を拡張する際に分泌されるプロスタグランジンという物質には、痛みをもたらす作用があり頭痛を招くのです。
週末に起こる痛みは、ストレスから解放されたサイン
週末偏頭痛は、ストレスから解放された体が血流を取り戻そうとしているサインです。したがって、偏頭痛を解消するためには、慢性的な血流障害から脱却することが重要です。オフィスでは、時間を決めて首や肩、手首、肘のストレッチを行って筋緊張をほぐしましょう。スクワットなども行うと、全身の血流がよくなります。帰宅したらお風呂に長めに浸かって、しっかり温まります。寝る前にもストレッチを行えば、翌日に疲れを持ち越さずにすみます。
このように体を温める、ほぐすを意識し、1日のうちでリラックス時間を持つようにすると、週末にストレスを解消するという体の反応がなくなり、偏頭痛も解消していくでしょう。もちろん、薬も必要ありません。消炎鎮痛剤は交感神経を刺激して血管を収縮させ、血流障害を引き起こします。その結果、骨盤内の血流も悪くなり、子宮や卵巣の働きが低下して生理痛や生理不順などを招きます。薬をやめることが生理痛の解消にも直結します。
ドライアイ:目の充血を治す方法はありますか? (30代/女性 )
パソコンの疲れはその日のうちにとり、副交感神経を刺激しましょう。
涙腺から分泌される涙は、乾燥に弱い目にうるおいを与え、目に入ったゴミや花粉などを洗い流す働きや、細菌を殺して目を守る働き、レンズとして働いている角膜(黒目)に、酸素や栄養を供給する働きがあります。
涙には「基礎分泌」といって、たえず分泌されているものと、悲しいときや目にゴミが入ったときに分泌される「反射性分泌」があります。
ドライアイは、涙の基礎分泌が不足したり、涙に含まれる油分が減少したりすることによって目の表面が乾燥し、角膜が傷つくなどして、さまざまな障害が起こる病気です。主として、視力の低下や目が疲れやすい、ごろごろする、ものがかすんで見えるなどの症状を伴います。
涙が不足する原因はいくつかありますが、最も多いのは睡眠不足や目の酷使による涙不足です。目や体に無理がかかると交感神経が緊張し、分泌能を担当する副交感神経の働きが抑えられて、涙が分泌されにくくなります。
また、11~2月の冬場やエアコンなどの影響で空気が乾燥すると、涙の蒸発量が増えて、涙腺からの涙の供給が追いつかなくなりドライアイになります。
あなたの場合は物理的な原因もあります。パソコンのモニター画面を凝視すると、無意識にまばたきの回数が減り、目が乾燥しやすくなるのです。涙の蒸発が進むと、角膜は涙という保護膜を失うと同時に酸素不足になり、結膜にある毛細血管を拡張して酸素を得ようとします。その結果、白目が充血するのです。起床時に充血がひどい場合は薄目を開けて寝ている可能性が考えられるので、アイマスクで目を覆うとよいでしょう。
しかし、根本的な解決は自律神経のバランスを整えることです。体の分泌能をつかさどっているのは副交感神経です。交感神経の緊張が続き、副交感神経の働きが抑えられてしまうと、当然、涙も分泌されにくくなります。頭痛や肩こり、冷え性も、慢性的な交感神経緊張状態で生じており、ドライアイと根っこは同じです。
まずは睡眠をしっかりとり、体を温めるようにしてください。目を蒸しタオルで温めるのもよいです。
パソコンでの作業は、肉体労働とは異なる独特の疲労がたまっていきます。仕事をやめるわけにはいかないでしょうから、日中の疲れはその日のうちにとるように心がけることが肝心です。
緑内障:薬を使わずに自力で眼圧を下げたい。今後の緑内障が心配 (50代/男性)
ストレスを減らし、副交感神経刺激で眼球内の循環をうながしましょう。
眼球内では、房水(ぼうすい)という液体が産生され循環しています。房水は眼球を内側から圧して、眼球に一定の張りを与えています。この張りを眼圧と呼び、通常は10~21㎜Hgに保たれています。
房水は毛様体で作られて、眼球内部を循環しながら水晶体や角膜に酸素や栄養を運搬し、最終的には房水の排水口にあたる隅角(ぐうかく)から静脈へ排泄されます。房水の排水がうまくいかず眼球にたまると、眼圧が上昇します。
ご心配されている緑内障は、主として眼圧が高くなるために、眼球の奥にある視神経が圧迫されて障害をきたし、視力の低下、視野狭窄(きょうさく)、眼痛、頭痛などが起こる病気です。
排水口の隅角が虹彩(こうさい)によって塞がれ、房水が流れないものを「閉塞隅角緑内障(へいそくぐうかくりょくないしょう」、隅角は開いているものの、排水口のフィルターが目詰まりを起こして房水がたまるものを「開放隅角緑内障(かいほうぐうかくりょくないしょう)」といいます。
実は緑内障全体の6割は、眼圧が正常範囲にあるにもかかわらず、視神経が障害される「正常眼圧緑内障」です。これも他の緑内障と同様の症状が現れます。
緑内障の予防、治療の主眼は、眼圧を正常に保ち、視神経の障害を防ぐことにあります。現在あなたが使っている点眼薬も、房水の排泄を促して眼圧を下げるものと思われます。ご自身が気づかれておられるように、薬物治療は根治治療とはいえません。
房水がたまるのは、眼球内の循環障害が原因であり、この原因を取り除かない限り、眼圧は正常にならないからです。正常眼圧緑内障の場合も、循環障害であることは変わらないと私は考えています。眼圧が正常であっても、眼球に十分な酸素や栄養が届かなければ、視神経に障害が起こるのは当然といえます。
循環障害が生じる原因の1つはストレスによる交感神経の緊張です。働き過ぎや心の悩みなど、なにかしらストレスを抱えていませんか? 夜更かしや睡眠不足も、目には大きなストレスです。これまでのご自身の生活を見直して、思い当たることがあれば改善してください。
利尿剤をやめる
循環障害を招くもう1つの原因に利尿剤があげられます。
ご相談ではわからなかったのですが、あなたは現在、高血圧の治療もしくは腎臓病の治療で、利尿剤を使っていないでしょうか?
利尿剤は、腎臓に作用してナトリウムと水分の排泄を促します。これによって血液量を減らし、血管の抵抗性を落として血圧を下げるのです。
利尿剤は体から水分を搾り取る作用があるので、体は脱水を起こし血液の粘性が高まり、眼球も含め全身で循環障害が起こります。また腎臓では、血液の濾過や尿の産生ができなくなり、腎不全が起こります。
さらに、血液の粘度が高まると、体は流れにくい血液を流そうとするために、交感神経をより緊張させ脈拍を高めます。こうして交感神経緊張状態が作られていくことで、顆粒球が増え、顆粒球から放出された活性酸素が腎臓を直撃します。高血圧の治療をしていて、人工透析になっている人は少なくないのです。
利尿剤の害は全身におよびます。眼圧が高い人は、利尿剤をやめることが大切です。実は眼圧を下げる際にも、利尿剤(炭酸脱水酵素阻害薬(たんさんだっすいこうそそがいやく))の点眼薬と、内服薬が使われます。利尿作用は弱いとされていますが、使い続けることで眼球から水分を抜き過ぎてしまう恐れがあり、使用には賛成できません。利尿剤の他に、痛み止めや睡眠薬も、排泄能を低下させるのでやめましょう。
点眼薬で、房水の産生を抑えたり、房水の排出を促すなどして眼圧を下げることはできますが、これは眼球の働きを回復させることにはつながりません。
先に述べたように眼圧のコントロールで大切なことは、ストレスから逃れて交感神経の緊張を抑えることです。体を温めたり、心地よいと感じられるような軽い運動を行うと、副交感神経が刺激されて排泄能が高まり、房水の排泄も促されます。ほとんどのケースで、2~3カ月で眼圧が正常化し、緑内障が改善しています。「緑内障になったらどうしよう」と心配し続けるのも、精神的なストレスになります。「目にも体にもよいことをいっぱいやっているから、もう大丈夫!」と、明るく開き直りましょう。
パニック障害:5年前からのパニック障害を克服したい (25歳/女性)
現れた発作を悪者扱いしないことが大切です。
予期しない衝撃的な出来事に遭遇すると、誰しもパニックにおちいります。しかし、パニック障害は、これといった出来事がないのに、パニック発作が起こる病気です。発作の現れ方はさまざまで、突然胸がドキドキしたり、息苦しくなったり、めまいがして立っていられなくなったりします。
パニック発作は満員電車やエレベーターなど狭い空間で生じやすいのですが、いつ、どこで発作が起こるかは本人にも予想がつきません。そのため、「また発作が起こるのではないか」「起こったらどうしよう」という不安や恐怖がつのり、外出できなくなることもあります。このような心理状態を予期不安といい、発作と共にパニック障害特有の症状です。
パニック発作が起こったときの状況を相談された方に聞いてみると、精神的なストレスを抱えていた、疲れていた、睡眠不足だったという答えが圧倒的です。また、風邪をひいていたという人も少なくありません。パニック障害の原因は不明とされていますが、こうした答えから、持続的なストレスによる自律神経の乱れが発作の引き金になっていると考えられます。
パニック発作は危機回避のための反応
もちろん、ストレスを抱えている人すべてが発作を起こすわけではありません。パニック発作は、動物に備わった危険から身を守る反応です。発作を起こす人というのは、危険を察知する感受性が強く、危機を回避する能力が高い人ではないかと私は考えています。
体が起こす反応は、たとえそれがつらいものであっても、生命を維持するうえで理にかなったものです。発作を悪者扱いせず、冷静に対処することが大切です。
動悸がしたり息が苦しくなると、「また発作がきた。どうしよう」「死ぬかもしれない」「大変だ!」とパニックになり、これを繰り返すことで不安や恐怖が増幅していき、さらに発作が重くなるという悪循環の世界に入っていきます。
パニック障害から脱却するには、発作が起こっていないときに、次のように自分に言い聞かせることが大切です。
・ パニック発作は身を守るための反応であり、よい反応だ
・ 発作がつらいのは、身を守る反応が強く出過ぎているからだ。つらいけれど、これはプラスの反応なんだ
以上のように、発作を肯定的に受けとめられるようになると、しだいに発作の程度が弱くなったり、時間が短くなったりして苦にならなくなります。不安や恐怖がやわらいでいくと、おのずと発作も起こりにくくなっていきます。
発作が起こったときの状況を振り返って、特定の場所や空間の雰囲気、狭さ、広さなどが影響しているようであれば、原因を避けるのもよい方法です。また、発作が落ち着いてきたら、時間をかけてその状況に慣れるというのも一つの方策です。
原因がわからないまま発作が起こったときは、「つらい! でもこれは悪い反応じゃない」と、繰り返し言い聞かせてください。
発作を予防するには、ストレスを遠ざけることがいちばん大切です。睡眠をしっかりとり、体操や入浴で体を温めてください。つわりで9㎏やせたということですが、これは妊娠に適した体重として、体が求めているのではないでしょうか。
やせたこともプラスの反応と受けとめ、気持ちを穏やかにもって養生していくと、元気が出てきて体力も回復していきます。
うつ:過労と経済不安からうつに。今後の生活が不安です (41歳/男性)
ストレス要因を減らし、体を温めましょう。
現代医学では、うつの原因として、セロトニンやノルアドレナリンなど脳内の神経伝達物質の不足をあげています。これらの脳内物質は、意欲や活力などを伝達する働きがあるため、不足すると憂うつ感を招くというものです。しかし、私はこの憂うつ感の原因は低体温であると考え、治療の柱は体を温めることだと思っています。うつの患者さんの治療にあたっている治療家も、「うつの人は、例外なく極端に体が冷えている」といいます。
「体が冷えると、心も活力を失う」
このしくみは、ミトコンドリアのエネルギー生成系で説明することができます。
脳神経細胞は心筋や赤筋と並んでミトコンドリアが多い場所です。脳は生命活動をコントロールする中枢なので、活動を停止することはありません。眠っているときに夢を見たり、物音や地震でハッと目が醒めたりするように、脳は眠りからさめてすぐ活動できるようになっています。
このように脳が常に一定の待機状態を保つことができるのは、ミトコンドリアが絶え間なくエネルギーを供給しているからです。もちろんミトコンドリアも、休みがなければ疲れてしまいます。そこで、1日のうち一定時間睡眠をとることで休息をとるのです。
ストレスは、ミトコンドリアの働きに影響を与えます。
ストレスがかかると、闘争心が強い人や頑張り屋さんは、ストレスに負けまいと発奮します。このように心のスイッチが交感神経側に入る人は、強い興奮状態を維持するために、ミトコンドリアが活性化します。一方、不安や怯えを抱きやすい人は、ストレスがかかると耐えきれずに落ち込み、睡眠もとれなくなります。こうなると、休息がとれないミトコンドリアの機能は徐々に低下していきます。
交感神経緊張型の人は血管がたえず絞られているために血流障害を起こし、副交感神経優位型の人は血管が開き過ぎて、血液が停留することで血流障害を起こします。血液の流れが悪くなれば低体温になります。低体温、低酸素が続けば、ミトコンドリアは生命活動に必要な栄養素が作り出せなくなり、脳の活性が低下します。こうして心の元気が失われていくのです。
心を元気にするには、ミトコンドリアに元気になってもらうことが大切です。体を十分に温め、深呼吸をしてたっぷり酸素をとりいれると、ミトコンドリアが活性化して、心の不調も治すことができます。
糖尿病:血糖値が安定せず不安な日々を過ごしています (40代/女性/主婦)
ストレスに耐えるため血糖が上昇します。頑張り過ぎにも注意しましょう。
養生に完璧主義はいらない
食事に気をつけ、体を動かしてエネルギーの摂取量を調節し、薬を服用する。一見理にかなった治療に思えますが、現実には「血糖値が下がらない」「コントロールできない」「薬をやめると血糖値が上がってしまう」と嘆く患者さんが少なくありません。なぜでしょう? その理由は、ストレスによる自律神経の乱れが糖尿病を引き起こしているという重要な視点が、治療に組み込まれていないからです。
糖尿病は典型的なストレス病です。ストレスは交感神経を刺激して、カテコールアミン群、つまりノルアドレナリン、アドレナリンなどの分泌を促します。これらは肝臓に蓄積されているグリコーゲンの分解を促して、ブドウ糖の生成を促進します。ゆえにストレス状態が長期におよぶと、血糖が上昇します。
交感神経が緊張すると副交感神経の働きが抑えられ、体の分泌能が低下してインスリンの分泌が抑制されます。また、交感神経の緊張は顆粒球の増加を招き、活性酸素の産生量を増大させます。
活性酸素はインスリンを分泌する膵臓のランゲルハンス島を障害して、インスリンの分泌能を低下させると共に、血中のブドウ糖と反応して組織に炎症を起こします。これによって、動脈硬化などの血管の病気、神経障害、腎臓の機能低下、肝機能障害など、さまざまな合併症が生じます。
ストレスが血糖値を上昇させることは医学の常識ですが、ストレスがここまで深刻な健康被害を与えているとは認識されていません。それゆえ、患者さんの生き方からストレスを取り除くための指導が行われていないのが現状です。
血糖値がときとして不安定になるのは、「ストレスから楽になりましょう」という指導がなされないまま治療を続けていることに問題があるようです。あなたは何事にもまじめに取り組む方ではないでしょうか。
一度決めた目標は絶対に達成しなくてはと考え、食事制限を守り、大好きな晩酌も控え、運動もしっかり続けてきました。頑張ることが悪いとはいいませんが、いき過ぎればストレスになって交感神経を緊張させ、血糖値の上昇を招きます。養生に完璧主義はいらないのです。
頑張り過ぎる心は、知らず知らずのうちにストレスをためていきます。血糖値が上がったら「また頑張り過ぎているみたいだ」と気づくだけでも、交感神経の過緊張を防ぐことができます。白血球の分画を調べると自律神経のバランスをチェックすることができるので、半年に1度くらい調べてみるのもいいことです。
かかりつけ医には、「薬をやめたい」という希望を率直に伝え、相談してみてはいかがでしょうか。薬は対症療法で、根本的治療にはなっていません。生活の中で副交感神経を刺激する工夫を続けていけば、インスリンの分泌能も高まり薬に頼らずにすみます。具体的には、リラックスする時間をできるだけ増やすことです。お笑い番組を見るもよし、お風呂にゆったり浸かるのもよし、友だちと長電話するのもよし。ただし、そこでまた頑張らないように。
脂肪肝:中性脂肪は低いのに脂肪肝。健康的な食事をしているのになぜ? (30代/女性)
脂肪肝はストレスから身を守る反応です。
一般に脂肪肝の目安とされるのは、肝臓内の中性脂肪が5%を超えた場合です。肝臓の重要な働きの一つに、糖質、脂質、タンパク質などの栄養素の代謝があります。食事に含まれる脂質は腸で吸収されたあと肝臓に送られて中性脂肪に合成され、一部は肝細胞(肝臓を構成する細胞)の中に蓄えられます。肝細胞中に脂肪が過剰に蓄えられた状態が脂肪肝です。
原因はアルコールの飲み過ぎや、脂ものを過剰にとるなど食生活の偏りで起こるとされています。肝臓に脂肪が溜まったからといって、すぐ生命に危険がおよぶわけではありません。しかし、放置しておくと肝臓がはれて肝機能に障害が生じ、疲れやすくなるなどの弊害が生じるようになります。脂肪肝の治療は食事療法と運動療法が中心で、効果がないときは補助的に薬物療法も併用します。
あなたのようにアルコールも飲まず肥満もしていないのに、脂肪肝になる人は少なくありません。このような非アルコール性脂肪肝の発症原因は不明とされていました。
私たちの体の組織はストレスを受けると、進化する以前の形に戻る「先祖返り」現象を起こします。脂肪肝が起こるメカニズムも、この先祖返り現象で説明することができます。
ストレスで先祖返りする肝臓
まず、肝臓の成り立ちからお話ししましょう。肝臓は腸から進化したものです。腸にふくらみができて肝臓となり、ここで胆汁を作ったり、脂肪を蓄える役割をになっていました。貯蔵された脂肪を、肝細胞のミトコンドリアのエネルギー源にしていたのです。このように肝臓を脂肪の貯蔵庫にしていたのは、甲殻類やは虫類などの変温動物です。
変温動物は、外界の温度変化に応じて体温を上下させているので、体を保温するための皮下脂肪を必要とせず、脂肪は肝臓にためておけばよかったのです。進化によって恒温動物が現れると、温度変化に対応するために脂肪を肝臓から皮下と内臓にうつし、皮下脂肪と内臓脂肪にして保温に使うようになりました。
ところがストレスがかかると、皮下の脂肪を溶かして血液に乗せ、肝臓に移して溜め込むという先祖返りが起こります。ストレスに対処するには心身を発奮させなくてならないので、大量のエネルギーが必要です。脂肪はエネルギーの変換効率がいちばん高いので、肝臓のミトコンドリアにとっては好都合です。ストレスが長期化すれば、皮下の脂肪はどんどん血液中に溶かされるので高脂血症も発症し、肝臓に脂肪が溜まり続けて脂肪肝になるというわけです。
胃潰瘍の再発予防にピロリ菌の除菌を勧められています (75歳/女性)
除菌より先にやるべきことがあります。
近年、胃潰瘍の元凶として、「ヘリコバクター・ピロリ菌」がやり玉にあがっています。ヘリコバクター・ピロリ菌は特別な菌ではなく、60歳以上の人の8割以上が胃の中に持っている常在菌です。
では、60代の人の8割以上が胃潰瘍になっているかといえば、そんなことはありません。つまり、胃潰瘍の原因を、この菌にすべて負わせることには無理があるということです。
ヘリコバクター・ピロリ菌だけが悪いのではない
ヘリコバクター・ピロリ菌が胃潰瘍の形成に関与するとすれば、ストレスがかかったときです。通常の胃はph1~2ぐらいの強酸性を保っています。ヘリコバクター・ピロリ菌は酸に弱く、この条件下で増殖できません。潰瘍を作るほどに菌が増えるのは、胃のpHが強酸性を維持できなくなったときです。
この条件が作られるのは、ストレスがかかったときと、H2ブロッカーなどに代表される制酸剤を服用した場合です。
ストレスがかかると副交感神経の働きが抑えられ、細胞の分泌能が低下して胃酸の分泌が抑えられ、胃は強酸性を維持できなくなります。加えて、H2ブロッカーで胃酸を抑えることで、強酸性が保てなくなった胃粘膜は、ピロリ菌にとって棲み心地満点となって増殖します。
ストレスは交感神経を緊張させて顆粒球を増やします。顆粒球は常在菌と反応する性質があり、増殖したヘリコバクター・ピロリ菌と反応して大量の活性酸素を放出し、組織を破壊します。ストレスが長引くことで、潰瘍が形成されます。ヘリコバクター・ピロリ菌が悪玉というより、ストレスや薬で菌が暴れやすい環境が作られることに問題があるのです。
胃潰瘍の治療では、ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌が必須という流れができつつあります。除菌すれば顆粒球が反応する相手がいなくなるため、潰瘍はできなくなります。こうして、胃潰瘍が治っても、ストレスを抱えたままなら再発は必至です。
あなたは3回目の除菌を迷っていらっしゃいますが、優先すべきは制酸剤をやめることと、ストレスチェックを行うことです。制酸剤以外で、ひざ痛や腰痛用に痛み止めを使っていたら、それらの服用もやめましょう。ふだんの生活で心配事はありませんか? お孫さんの世話などで、体に無理をかけてはいないでしょうか? 生活を点検して、心身に負担がかかっていないかどうか見直してみましょう。薬とストレスを取り除くことで除菌は不要になるでしょう。
便秘薬が効かなくなった! (51歳/女性/会社員)
浣腸の常用はやめましょう。排便反射を損ないます。
私たちがとった食べ物は、食道から胃、小腸(十二指腸→空腸→回腸)へと送られ、小腸で栄養素や水分の9割が消化吸収されます。残りは大腸(盲腸→結腸→直腸)に送られ、さらに水分が吸収されて固められ、一定量まで蓄えられた後、蠕動(ぜんどう)運動によって腸管を移動し、肛門から便として排泄されます。
このプロセスがスムーズに行かなくなって、腸管内に便がとどまってしまうのが便秘です。便秘には、腸閉塞やポリープ、大腸がんなど大腸自体に異常や病変があって生じる「器質性便秘」と、大腸が正常に働いていないために起こる「常習性便秘」があります。日本人の5人に1人は、この常習性便秘を抱えているといわれます。
胃腸の働きは副交感神経の調整下にあります。ストレスで交感神経が緊張し、副交感神経の働きが抑えられると、排泄能が低下して老廃物や便が出せないという「ためこみ体質」になります。また、腸の蠕動運動が起こりにくくなることから便秘が起こるのです。
食事や運動に気をつけていても便秘が解消しないということですから、ストレスが原因になっていると考えられます。心の悩みや働き過ぎがないかどうか振り返ってみましょう。
女性は人間関係のストレスを抱えやすい
女性のストレスでいちばん多いのは、人間関係の悩みです。女性には、四方八方に気がまわるという特性があるため、無意識に人に気を遣っていることが多いのです。家族や近隣、会社の同僚など、人づきあいで無理をしていないでしょうか。具体的なストレス要因が浮かばない場合、仕事や家族の世話などで頑張り過ぎていないかどうか、見直してみましょう。
頑張り屋さんは、「頑張っている」という自覚がなかったり、「頑張るのは当然」と考えています。そのため、頑張ることにストレスを感じていません。しかし、真面目さが過ぎれば、心や体に無理がかかります。思い当たる部分があれば何事も完璧にこなそうとせず、「いい加減」「適当にやる」という感覚も持つようにしましょう。
ぜんそくの発作が不安でたまりません (51歳/女性)
副交感神経の過度な働きを、運動などをして抑えましょう。
気管支ぜんそくはアレルギー性疾患の一つです。発作を誘発するアレルゲン(抗原)には、ダニや花粉などの異種タンパク(自分の体にはないタンパク質)、ハウスダスト、化学物質、環境汚染物質など、人によってさまざまです。
アレルゲンを吸いこむと、体はこれを排除しようとしてせきやタンを出し、気道(気管、気管支)の内腔を狭めます。この反応が強くなると、息苦しさや呼吸困難を招きます。主として夜間や明け方に、ヒューヒューゼイゼイという喘鳴(ぜんめい)やせき、胸苦しさを伴います。
アレルギー疾患は、副交感神経が過度に優位になると発症しやすくなります。リンパ球が増え過ぎて、外界の刺激に過敏に反応してしまうからです。また血管が開き過ぎて、血液が流れにくくなる影響でアレルゲンが体内にとどまるので、発作は避けがたくなります。
副交感神経が過度に優位になるというのは、楽をし過ぎる生き方といえます。あまり体を動かさない、甘いものを好んで食べる、食べ過ぎが習慣化しているなど、思い当たることはありませんか? もし当てはまることがあれば、その習慣をやめることです。できるだけ外気にあたって、スローペースでいいので散歩をしましょう。交感神経が適度に刺激されて、副交感神経の過度な働きを抑えることができます。
もう一つ病気の引き金になるのは、ストレスです。副交感神経が過度に優位になると、ストレスにたいする耐性も弱くなり、小さなことで気持ちが傷ついたり、取り越し苦労をしたり、いろいろなことが不安に思えてきたりします。こうした心の状態が発作を誘発します。
不安から脱却するには、その原因を突き止めることが大切です。4年前にぜんそくが出たときのことを思い出してみてください。なにかストレスはありませんでしたか? 思い当たるストレスがあれば、「○○のストレスでぜんそくになった」と自覚することで、発作が起こってもパニックにならずにすみます。
ぜんそくの発作治療では、気管支拡張剤や抗アレルギー剤、ステロイド剤などが用いられます。これは対症療法で、根本的治療ではありません。いずれも交感神経を緊張させる作用があるので、常用すれば最終的に交感神経緊張状態が固定し、新たな病気が上乗せされます。薬に頼り過ぎず、自分の力で治すよう努力しましょう。体を温めることは、治す力を高めることにつながります。積極的に体を温めましょう。
アトピー性皮膚炎:10年使ったステロイドをやめたものの、リバウンドがつらくて挫折しそうです (23歳/男性)
ステロイド離脱の専門家にサポートしてもらいましょう。
アレルギーとは、ある特定の物質にたいして過敏に反応することを指し、アレルギーの原因となる特定の物質を、抗原(アレルゲン)と呼びます。なにが抗原になるかは人それぞれで、卵やそばなど特定の食品、花粉、ダニ、ハウスダストなど、さまざまなものがあります。
アレルギー疾患には、アトピー性皮膚炎、花粉症、気管支ぜんそくなど、いろいろな種類がありますが、発症するしくみは共通しています。体内に入ってきた異物をリンパ球が抗原と認識すると、抗体というタンパク質を作って排除しようとします。これを抗体抗原反応といいます。
この反応が生じる過程では、プロスタグランジンやロイコトリエン、ヒスタミンなど、発熱、炎症、かゆみ、発疹などを起こす物質がかかわり、不快な症状が次々に現れます。副交感神経が過度に優位な人はリンパ球が多く、抗体抗原反応が強くなるので、一連のアレルギー症状も強く出ます。
子ども時代は副交感神経が優位でリンパ球が多いので、あなたのようにぜんそくが終わるとアトピー性皮膚炎になるというように、アレルギーを起こしやすくなります。しかし、成長に伴って自律神経のバランスがとれてくると、顆粒球が増えリンパ球数が減る影響で、アレルギー疾患は自然に治ります。
大学に入ってからアトピーが目に見えてよくなったということです。あなたが気づいておられるように、テニスサークルで運動をする機会が増えたことで、交感神経が適度に刺激され、副交感神経の過剰な働きが抑えられ、リンパ球過剰体質が改善されたからでしょう。運動を行って血流がよくなれば、抗原を洗い流すことができるので、アレルギー反応も起こりにくくなります。
この流れを進めていけば、早晩、アトピーは完治していたものと思われます。しかしそうはならず、社会人になってからアトピーが再燃しました。その原因は仕事上のストレスであり、アトピーを難治化させたのがステロイドです。ストレスが強くかかると、交感神経緊張状態に陥り血流障害と低体温が生じ、顆粒球が増えるために、皮膚組織の破壊が進行します。ステロイドを使うことで、悪い流れに拍車がかかったのです。
時間はかかっても、リバウンドの先には治癒が待っています。いまはつらいと思いますが、希望を持ちましょう。
今後は医師や治療家の助けを借りるだけでなく、ご自身でも治癒を促すための養生を行ってください。血流を整え、体温を上げることが肝心ですから、運動で汗を流したり、ストレッチや体操を行って体の柔軟性を高めるとよいでしょう。
ステロイドをやめたことで、大きなマイナス要因が1つ減りました。今後はストレスから逃れる工夫をしましょう。
新入社員ということで、仕事で失敗したり、上司から注意を受けることもしばしばあり、ストレスがたまっているということです。仕事にまつわるストレスを減らすための一助となるのが、日記をつけることです。簡単なメモ程度でいいので、ご自身の行動の記録をつけてみましょう。あとで読み返すと、意外と些細なことが多いのに気づくはずです。
もし失敗の原因が自分が犯した仕事上のミスなら、ミスはミスとして認め、勉強だと思い、次回から気をつければよいのです。
ただし、自分を神経質に分析し過ぎるとストレスになるので、これもほどほどにしましょう。ミスをしても、上司に怒られても、明けぬ夜明けはありません。その日にあった嫌なことは、その日のうちに心の中で整理しておくことです。悩んでもどうにもならないことはたくさんあります。「なるようにしかならない」と開き直ることも生きていくうえでの知恵です。
先ほどお話ししたように体をよく動かすと、体温が上がり、体の柔軟性が増します。体のコンディションがよくなると、同じようにストレスがかかっても、柔らかく受けとめることができます。ストレス対策は心身両面で進めていくことが大切です。
手根管症候群で手術を勧められていますが、後遺症が心配で迷っています (60代/女性)
しびれは体が血流を求めているサイン。温めて血流を回復させましょう。
手首の手のひら側には、「手根管」というトンネル状の部位があります。このトンネルの中を、手指につながる正中神経が通っています。正中神経が支配しているのは親指、人差指、中指、薬指の4指で、手根管内で正中神経が圧迫されると、これらの指に、痛みやしびれ、ピリピリするなどの神経痛や、指に力が入りにくい、小さな物がつかめないなどの症状が現れます。手根管解放手術というのは、手首から手のひらにかけて切開し、神経を圧迫している部分を取り除くものです。
手根管症候群の原因は、手の慢性的な血流障害です。血流が悪くなると神経細胞が必要としている酸素や栄養が行きわたらなくなり、神経障害を招きます。
原因がわかればそれを避ける工夫もできるでしょう。水仕事などで手を冷やしていませんか? また、夜更かしや過労、精神的なストレスも、交感神経の緊張を招き血流障害の引き金になります。生活を見直して、血行を悪くする原因を取り除くことが大切です。具体的には、お風呂で温めたり、体操を行ったりすればよいと思います。
しびれやぴりぴりするなどの神経症状は、局所を圧迫しても起こります。わかりやすい例が、正座をしたときのしびれです。このようなしびれは一時的なものですので、足を伸ばせばすぐ治ります。
しかし、あなたの場合は神経障害まで進んでいるので、温めてすぐ治るというわけにはいかないかもしれません。神経組織が再生する速度は一日1~3ミリと考えられています。手根管から指先までの長さは14~16センチほどあるので、指先まで回復するには単純計算でも140~160日以上は要することになります。
血流がよくなってくるとしびれやじんじんする痛みが強くなることがありますが、これは組織が再生するときに生じる反応です。怖がらずに温めてください。ただ、あまりに痛みが強いというときは、つらくない程度に温める方法を考えましょう。しびれや痛みなどの症状は不快なものですが、これらを通り過ぎた後には治癒が待っています。
手術をするかどうかはご自身で決めることです。原因がわかったのですから、神経の再生を助ける養生をしながら、体がなにを必要としているのか、ご自身の感性を働かせて考えましょう。病気はその人の生き方から生まれます。病気を治すには、ご本人が生き方を見直し、「自分で治すという自立心」を持つことがいちばん大切です。
リウマチの痛みからくるストレスがつらいです。どう対処すればよいのでしょう? (51歳/女性/会社員)
痛みの意味を理解しましょう。痛み止めに頼りきらずに養生できます。
これまで私は機会あるごとに、消炎鎮痛剤の健康被害について指摘してきました。だからといって「痛み止めを絶対に使ってはいけない」と言っているのではありません。薬には、直接症状を抑えこむだけでなく、体を楽にして安心感をもたらす効果もあります。こうした薬のメリットをすべて否定しているわけではないのです。
痛みがストレスになるかどうか? といえば、間違いなくストレスだと思います。体のどこかが痛ければつらいですし、気持ちも落ち込みます。目を開けていられないほど頭痛がするとか、腰痛がひどくて眠れないという場合は、薬で痛みをやわらげたらよいと思います。症状の激しい急性期は、ストレスを軽減する目的で、対症療法として薬を使う価値はあります。
問題は、対症療法がすべてになって、慢性期も薬を使い続けてしまうことです。消炎鎮痛剤は交感神経を緊張させ血流障害を招きます。そもそも病気は交感神経の緊張によって引き起こされているのですから、薬を使い続ければ治癒と逆行することになります。
痛みはたしかにストレスですが、薬を使い続けることも、体にとって間違いなくストレスなのです。しかも、新たな病気を上乗せする元凶でもあります。
痛み止めを使用するなら短期間にとどめる。この原理原則さえおさえておけば、痛み止めに依存しなくなるはずです。
では、あなたのように十数年リウマチの痛みを抱えている場合、どのように対処すればいいのでしょうか。その答えを得るには、リウマチが発症するしくみを理解することが大切です。
関節リウマチは、手や足、肩、ひざなど、体のあちこちの関節内で炎症が起こり、痛みやこわばりが生じる病気です。病気の進行に伴って関節のはれが重症化し、関節が変形したり動かせなくなったりします。
関節破壊が起こるしくみを、現代医学は過剰な免疫反応によるものと捉え、リウマチを自己免疫疾患と位置づけています。本来は外敵を攻撃するリンパ球が、誤って自分の細胞を破壊し、関節の炎症を引き起こしているという解釈です。
そこで、関節の炎症をとるために、ステロイドや免疫抑制剤、消炎鎮痛剤などを用いてリンパ球の過剰な反応を抑えることが治療とされているわけです。
以上の説明は、患者さんも病院で聞いていると思います。しかし私は、リウマチは過剰な免疫反応で生じている病気ではなく、免疫が抑制されて生じる病気であることを明らかにしています。具体的にご説明しましょう。
リウマチの患者さんの血液を調べると、白血球のうちの顆粒球が顕著に増加しています。関節液の中の白血球は、その98%が顆粒球で占められている患者さんも珍しくありません。
顆粒球が過剰になると活性酸素の放出量が増えるため、関節の破壊も進行します。すると、関節内には、活性酸素で破壊され、異常をきたした自己細胞が増加します。異常になった自己細胞にたいしては、胸腺外分化T細胞や自己抗体産生B細胞が処理にあたります。
外来の敵を処理するリンパ球は進化の新しい免疫系であり、自分自身の細胞を処理するこちらのリンパ球は古い免疫系です。古い免疫系が活性化しているときは、新しい免疫系のリンパ球の数は減ります。つまり、リウマチは(新しい)免疫系が抑制された、免疫抑制の病気と考えることができます。
先に述べたように、現代医学はリウマチを過剰な免疫反応と捉え、免疫を抑えこむステロイドや免疫抑制剤、消炎鎮痛剤などを治療に用います。これでは免疫が極限まで低下して、いつまでたっても病は癒えません。


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